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2011年8月 6日 (土)

『NHK「坂の上の雲」を考える宮城県有志の会』がNHKに再度の質問状を提出

 『NHK「坂の上の雲」を考える宮城県有志の会』では、去る2月28日に行ったNHKへの申入れに対し、菅エグゼクティブプロデューサーの回答が4月11日付であったのに対し、納得がいかない答えということで、7月4日に「再度の質問状」を発しました。同日、4人でNHK仙台放送局に申し入れました。回答への5人の会員のナマの感想も資料として添えました。
7月12日付で2回目の回答が西村エグゼクティブプロデューサー執筆にて届いております。今後のことをこれから話合っていくところです。
一戸共同代表の委任により全国の皆様にお伝えいたします。

ドラマ「坂の上の雲」に関する再度の質問状
                   2011年7月4日

日本放送協会会長
 松本 正之 様
         NHK「坂の上の雲」を考える宮城県有志の会
                   共同代表 庄司 捷彦
                   同    加藤 嘉信
                   同    一戸 葉子
                  連絡先:庄司捷彦法律事務所(石巻市)

1、私たちは本年2月28日付の文書で、貴協会(NHK)に対し、【NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」に関する質問状】を送付させて頂きました。この文書に対しては、震災後の4月11日付の回答を頂きましたので、当方では、この貴協会「エグゼクティブプロデューサー 菅康弘」氏名での回答を検討させて頂きました。

2、
しかし、残念ながら、今回の回答は、私たちを深く失望させるものでした。
第1に、私たちは、協会会長としての松本正之氏・貴殿宛の文書を送りました。しかし回答文は上記のように、一部門の責任者名義での文書でした。この文書が貴協会を代表する文書なのか、一部門の見解なのか、判断できません。当方が求めていたのは貴協会を代表する見解の表明であることは質問状の形式から明らかなことです。当方が求めているのは、制作現場担当者の意見ではありません。
今回の回答の形式は、世に言う「代返」に等しいもので、質問者に対して、極めて無礼な対応と言わざるを得ません。貴協会の猛省を求めます。私たちは、貴協会との視聴契約の当事者です。そのことを貴殿が想起されることを希望します。

第2に、今回の回答内容は、視聴者からの同旨の質問に対する回答(平成21年11月4日付、エグゼクティブプロデューサー西村与志木氏作成)の文章と重なります。作成者が異なりながら、これほどに類似していることに、貴協会の不遜で傲慢な姿勢を感じるのは私たちだけでしょうか。しかも、回答文には「質問状にも書かれていらっしゃるとおり、司馬遼太郎氏は小説『坂の上の雲』を戦争賛美では書いてはいません」と表記しています。私たちの質問状のどこに「司馬遼太郎氏は小説『坂の上の雲』を戦争賛美では書いてはいません」との記載があるでしょうか。質問状には「戦争批判なき戦争ドラマ」との記述はありますが、「戦争賛美ではない」などと言う記載はありません。貴協会の回答書は、当方の記載を我田引水的にねじ曲げて表記し、質問の趣旨をそらすもので、卑劣な論述と言わなければなりません。

第3に、これが最大の問題点ですが、当方が第1から第5まで、項を分けて、具体的な質問を列記しておりましたが、貴協会回答は、どの質問にも正面から回答しておりません。このような対応は、社会的には、不誠実な対応の典型と評価されるべき行為です。
例えば、当方の質問状では、原作者が生前に映像化を拒否していた事実を摘示して、原作者の意思に反するのではないかと質問しました。これに対し貴協会回答では、著作権承継者である配偶者の同意を対置させています。これは回答にはなっておりません。当方はあくまで原作者の意思との齟齬を問題にしていたのですから。
更に、質問5では、ドラマの制作費用も尋ねておりましたが、金額での回答を回避されています。これも、契約当事者である視聴者を軽視した対応と強く感じている次第です。

3、以上のとおり、冒頭に掲げた貴協会回答書が、その形式面でも内容面でも、社会的常識を大きく逸脱した、無礼千万な文書であることを、指摘させて頂きました。
本書面により改めて、【NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」に関する質問状】(2月28日付)の1から5の全ての質問について、貴協会代表者からの、文書による、各質問毎の、誠意ある御回答を、心よりお待ち申し上げます。
本書面到達後、2週間以内に文書による御回答を下さいますよう、希望いたします。      以上

7月12日付の西村エグゼクティブプロデューサー名の2回目の回答は........
NHK「坂の上の雲」を考える宮城県有志の会
                共同代表・ 庄司捷彦様 加藤嘉信様 一戸葉子様
拝復
  日頃からNHKの放送に対し高い関心とご理解をいだだき有り難
うございます。2011年7月4日付でNHK会長、松本正之あて
に送られた「ドラマ『坂の上の雲』に関する再度の質間状」につい
て松本会長の指示のもと小職、西村与志木がNHKの公式な回答と
してお答えいたします。

  司馬遼太郎氏が映像化に反対していた理由として「ミリタリズム
を鼓吹しているように誤解されるおそれがある」と述べていた、と
前回の質問状の中で記述されているとおり、司馬氏は小説「坂の上
の雲」を戦争賛美の姿勢で書いてはいません。

  NHKは映像化の許可をいただくため、これまで幾たびか司馬氏
と交渉をして参りましたが、司馬氏が亡くなられた後は、著作権継
承者の福田みどり様および司馬氏をよく理解する司馬遼太郎記念財
団のみなさまと話し合いを持ち、許可をいだだくことができました。
NHKは司馬氏の思いと原作をできる限り尊重し、生かす形でドラ
マを制作しています。

  2011年7月28日付けでいただいた質問状については、項目
立てはしておりませんが、前回お送りした文書でご回答申し上げて
いると考えております。
  今後ともスペシャルドラマ「坂の上の雲」へのご支援、ご埋解を
よろしくお願い申し上げます。
                         敬具
                                                    
平成23年 7月 12日
  NHK放送総局「坂の上の雲」プロジェクト
              エグゼクティブプロデューサー
                       西村与志木
........というものです。
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回答への5人の会員のナマの感想の資料はこちらをご覧ください。

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